呼吸器内科このページを印刷する - 呼吸器内科

対応疾患

  • 肺結核
  • 気管支炎
  • 肺炎
  • 気管支拡張症などの一般呼吸器疾患
  • 慢性閉寒性肺疾患(肺気腫・肺線維症など)
  • 自然気胸
  • 肺癌
  • 縦隔腫瘍
などが、当科の診療の対象となります。

神奈川病院呼吸器内科の診療の現状

 神奈川西部において、呼吸器内科・外科の常勤医師を有する医療機関として、広く地域より様々な呼吸器疾患患者さんを受け入れ、診療に日々専心をしております。
 しかしながら、2022年度はコロナ禍中の受診控え、および病棟の感染症専用化による実質的受け入れ制限にもより、入院患者数は禍中前の8割程度、また気管支鏡検査件数は大幅に減少してしまいました(下表)。

 呼吸器外科とは同じ病棟で密に連絡しながら検査から共に行い、肺癌のみでなく転移性肺腫瘍、気胸、肺結核及び膿胸などの炎症性疾患、縦隔腫瘍などの外科手術へ円滑に繋げております。さらなる発展を目指し、2023年4月には念願のスタッフの増員、そして同12月には超音波気管支内視鏡(オリンパス社BF-UC290Fほか)を導入いたしました。
件数

主な疾患の概略と当院での診療

・肺結核
 肺結核は決して昔の病気ではなく、空気感染により日本ではまだまだ蔓延しております。咳、痰、血痰、だるさ、発熱、寝汗、体重減少などの症状が続く場合は、本疾患の可能性を疑う必要があります。検査は胸部エックス線検査、胸部CT検査、血液検査(T-SPOT)、喀痰検査などを行います。痰を調べ、顕微鏡観察や培養(6週間かかります)、遺伝子検査で菌が証明されれば診断されます。当院は治療専門の病棟を有し、神奈川県内から広く患者さんを受け入れております。標準的な治療は4種類の抗結核薬を2ヶ月、続けて2種類に減らして4ヶ月、計6ヶ月間の内服です。痰から菌の排出が消失するまで、標準的にはおおよそ2ヶ月間の入院隔離を要しますが、薬剤に耐性菌の感染、ご高齢や併存の疾患により入院の長期化や在宅療養に戻れない患者さんも増えているのが現状です。
 
・肺非結核性抗酸菌症
 肺非結核性抗酸菌症は、結核菌以外の抗酸菌が肺に感染して起こる病気です。この菌は土や水などの環境中にいる菌で、結核菌とは異なり人から人には感染しないとされています。非結核性肺抗酸菌症の80%がマック(MAC)菌(M.avium、M.intracellulare)で、次に多いのがカンサシ菌で10%です。主に浴室など水回りや土を扱う作業で、空気中にただよう非結核性抗酸菌を繰り返し吸い込むことにより感染すると考えられています。多くは数年から10年以上かけてゆっくりと進行するため、症状がなく、検診の胸部エックス線検査で発見されることもしばしばあります。画像検査、血液検査、喀痰検査、気管支鏡検査などで診断します。確実な治療方法は未だなく、症状や排菌の状況・肺の影の性状により経過観察となる場合があります。症状や肺の影が悪化してくる場合には、複数の薬による長期の治療が必要です。また、難治性の本疾患に対する抗菌薬の吸入も、将来認められる見込みです。
 
・肺癌
 肺癌を中心とした胸部悪性腫瘍に対して呼吸器外科と協力して治療の方針を検討し、ガイドラインに沿った手術療法、化学療法、放射線療法(他院に依頼)、緩和ケアを行います。当科で行う肺癌の化学療法の分野では、この数年目覚ましい進歩が見られております。オブジーボをはじめとする免疫チェエクポイント阻害薬や遺伝子変異に対する分子標的薬による治療ほか、当院では最新かつ最良の治療を患者さんへお届けできるよう努力しております。
 
・間質性肺疾患
 肺は肺胞というブドウの房状の小さな袋がたくさん集まってできています。間質性肺炎は、肺胞の壁に炎症や損傷が起こり、壁が厚く硬くなるため(線維化)、酸素を取り込みにくくなる病気です。間質性肺炎の原因は様々ですが、原因不明のものを特発性間質性肺炎(IIPs:idiopathic pulmonary fibrosis)と総称します。IIPsのなかでは特発性肺線維症(IPF)が80~90%と最も多く、発症率が10万人対2.23人、有病率が10万人対10.0人とされています。IPFは50歳以上の男性に多く、ほとんどが喫煙者であることから、喫煙が「危険因子」であると考えられています。症状は初期には無症状のことが多く、病状がある程度進行してくると動いた時の息切れや痰を伴わない咳を自覚します。IIPsの原因は不明ですが、複数の原因遺伝子と環境因子が影響している可能性が考えられています。診断は問診、身体診察に加えて、胸部エックス線や胸部CT、呼吸機能検査、運動時の血液中の酸素の量の低下の割合などから病状を評価し、病型の分類を推測します。気管支鏡検査により肺胞の洗浄や生検を行うこともあります。最も正確な診断のためには肺を一部取ることが必要とされていますが、全身麻酔による手術を必要とするため、患者さんの状態によって施行すべきか検討します。治療は抗線維化薬(ピルフェニドン、ニンテダニブ)により病気の進行を緩やかにできる場合がありますが、効果には個人差があります。その他の病型のIIPsでは、多くの場合ステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)や免疫抑制剤が適応となります。病気が進行すると呼吸不全となり酸素吸入が必要になることもあります。
 
・慢性閉塞性肺疾患
 慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、タバコ煙など有害物質を長期に吸入曝露することで生じる肺の炎症性疾患です。主な症状は咳・痰・活動時の息切れです。吸入薬による治療で症状が改善し、呼吸機能の悪化も予防できますが、最も大切な治療は禁煙です。さらにCOPDではやせ、骨粗鬆症、脳心血管疾患、肺癌、うつ、メタボリック症候群などを合併するリスクが高くなり、これらの評価や治療、肺炎予防として肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンの接種、また、筋力保持・呼吸法習得などを目的とした呼吸リハビリテーションも行っております。気管支喘息は気道に炎症が続き、さまざまな刺激に気道が敏感になって発作的に気道が狭くなることを繰り返す病気です。症状は発作的な喘鳴(ヒューヒュー・ゼーゼー)・息苦しさ・咳・痰であり、夜間や早朝に出やすいのが特徴です。吸入ステロイドを中心とした薬物治療によって約9割は良好にコントロールされます。約1割を占める難治性/重症喘息の患者さんには近年開発が進んでいる生物学的製剤も提案させて頂いております。
 
・当科の病棟では、
入院から在宅療養へ継ぎ目なき医療を受けていただくために、医師、看護師、理学療法士、栄養士、医療相談員などの多職種が、薬物治療のみならず、呼吸リハビリ、酸素療法・呼吸管理、栄養管理から在宅療養など慢性期の療養方針の決定と整備に関わります。そして、訪問看護ステーションやケアマネージャーなどの方たちと連携を進め、継ぎ目なく次の療養へ繋ぐ「治し支える医療」の実践に努めております。
 

外来担当医表

診療スタッフ

中村 守男
職名 院長
専門 呼吸器内科
認定医・指導医 日本呼吸器学会専門医・指導医
日本内科学会 総合内科専門医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医・指導医
日本感染症学会 ICD
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
日本結核病学会 結核・抗酸菌症指導医
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 初級呼吸ケア指導士
日本医師会 認定産業医
日本がん治療認定機構 がん治療認定医
布施川 久惠
職名 副院長
出身大学 東海大学医学部医学科
専門 臨床検査医学・超音波医学・結核
認定医・指導医 臨床検査専門医
臨床検査管理医、ICD
超音波専門医・指導医・産業医
結核・抗酸菌症認定医・指導医
大久保 泰之
職名 統括診療部長
専門 呼吸器内科
認定医・指導医 日本呼吸器学会認定医・指導医
日本結核病学会認定医・指導医
河合 治
職名 呼吸器科医師
専門 肺癌・化学療法
認定医・指導医 日本呼吸器学会専門医
日本内科学会認定内科医
日本癌治療学会癌治療認定医
日本医師会認定産業医
荒木 規仁
職名 呼吸器内科医師
専門 呼吸器内科・睡眠時無呼吸症候群
認定医 日本医師会認定産業医
田中 阿利人
職名 呼吸器内科医師
専門 呼吸器内科
認定医 日本呼吸器学会専門医
日本内科学会認定内科医
浅野 浩一郎
職名 呼吸器科医師(東海大学・呼吸器内科教授)
浦野 哲哉
職名 呼吸器科医師